メダカの繁殖と遺伝とうんぬんかんぬん その5

メダカの繁殖と遺伝とうんぬんかんぬん その5

本日もご訪問ありがとうございます、いぶきです。

 

 


 
昨日、梅雨入りした指宿。過去2番目の早さでの梅雨入りだとか。朝から雨が降り続いています。

 

 


 
さて、しばらく時間が空いてしまいましたが、『メダカの繁殖と遺伝とうんぬんかんぬん』の第五回目です。




今日は予告の通り、皆さまお待ちかねの『ヘテロ』についてお話しする回です。

 

 

リアルロングフィンの登場によって、かつてないほどに『ヘテロ』というワードが頻繁に使用されるようになった今日この頃。

 

 

しかしながら、ヘテロというワードが独り歩きしているような感も見受けられます。

 

 

ヘテロとは何なのか、ヘテロ個体はどのように扱えば良いのか、などについてご説明したいと思います。

 

 

まずは、ヘテロという言葉の定義について。

 

 

ヘテロとは、遺伝学の専門用語で、正しくは『ヘテロ接合体』といいます。

 

 

このヘテロ接合体を略してヘテロと呼んでいるわけです。ちなみに、ヘテロと対をなすものは『ホモ』、正しくはホモ接合体といいます。

 

 

第四回の最後にも少し書きましたが、遺伝子の組み合わせの形で、AAやaaのものが『ホモ』、Aaの組み合わせのものが『ヘテロ』になります。

 

ここで第四回のまとめを少し。

 

・遺伝情報にはAとaという便宜的に2つに大別される情報がある。
 
・それらの組み合わせによって、表現が決定される。
 
・その組み合わせにはAA・Aa・aA・aaがある。
 
・これら4つがさらにMIXされて、次世代の遺伝情報が決定される。

 

さらに詳しく知りたい方は、是非バックナンバーを振り返ってみてください。第五回の内容がさらに分かりやすくなると思います。

 

 

さて、本題へと参りましょう。

 

Aが顕性の遺伝情報、aが潜性の遺伝情報になりますので、Aaのヘテロの表現型(見た目)は顕性の個体がもつ見た目と同じになります。

 

これをリアルロングフィン幹之で考えてみましょう。

 

【現物】リアルロングフィン♂/♀ +ヘテロ♂1匹 というアイテムがあったとします。

 

 

多分写真ではこんな感じですかね。

 

 

 

↓ オス

 


 

 

↓メス

 


 

 

↓ヘテロ♂

 


 

 

ヒレ長になる遺伝情報は、潜性の遺伝情報なので、aと表されます。つまりこのaが表現型として現れているということは、リアルロングフィンの♂と♀個体の遺伝子はどちらもaaとなります。

 

 

一方、+1匹されている♂個体はヘテロということなので、遺伝子はAaとなり、片方にヒレ長の遺伝子を潜在的に持っている個体となります。もちろん、Aaなので、ヒレは長くなりません。

 

 


ここで、ちょっと脱線。

 

 

正直なところ、ヒレ長ではないリアルロングフィンの個体は、AAの顕性ホモでもAaのヘテロでも、見分けは付きません。採卵してみて初めて分かるものです。裏を返せば、ホモをヘテロと言っても、見た目には誰にも分からないということです。

 

 

そういう人はいないものと信じたいところですが、儲け話があるところには詐欺・詐称というものが付き纏うのが世の常。こればかりは仕方がありません。

 

 

ですので、リアルロングフィン然り、特に高額なメダカを購入される場合には、本当に信頼できるメダカ屋さんからの購入をオススメいたします。

 

 


話を戻しましょう。

 

aaの遺伝子をもっているリアルロングフィンどうしを交配すれば、生まれてくるこども達はすべてaaとなり、理論上は皆リアルロングフィンになります。

 


(確率としては低いですが、ヒレ長でない個体が出る可能性もあります。※トランスポゾンという遺伝の仕組みのため)

 

では、Aaのヘテロ個体はどのうように扱えば良いのでしょうか。

 

 

筆者個人的な意見になりますが、『採卵には使わない』ことをオススメします。

 

 

理由は次の通りです。

 

 

aaの遺伝子を持つリアルロングフィンの♂と♀は、潜性の遺伝情報であるリアルロングフィンが表現型としてほぼ100%固定されていますので、ここにAaの遺伝子をもっているヘテロ個体を交配してしまうと、Aという顕性の遺伝情報が入り込んでしまい、せっかくの固定が崩れてしまうわけです。

 

 

aaの遺伝子をもつリアルロングフィン個体にAaの遺伝子をもつヘテロ個体を交配した場合、生まれてくるこども達の遺伝子は、Aa/Aa/Aa/aaとなり、aaの遺伝子をもつ個体が出る確率が理論上、25%にまで下がってしまいます。

 

よって、筆者はヘテロ個体は採卵には用いません。

 

 

では、ヘテロ個体の存在意義とは何なのでしょうか。それはずばり、オスが☆になってしまった場合や、あまりにも受精率が低かった場合のバックアップ要員と考えて頂ければと思います。

 

 

稚魚販売などでまとめて購入された場合にも、成長した後に必ず一度選別を行って頂いて、リアルロングフィン個体と非リアルロングフィン個体は必ず分けるようにしましょう。一緒に採卵してしまうと、とても残念な結果になってしまいます。

 

途中からはほとんどリアルロングフィンのお話になってしまいましたが、今日のお話は他の+ヘテロ○○というアイテムにも使える知識になっています。

 

 


また、色々なヒレ長メダカ、今人気の忘却の翼や月下美人、シャイナーなどの繁殖を行う際にも参考になると思います。

 

 


しっかり知って、しっかり使おう、メダカの知識!!おあとがよろしいようで。

ブログに戻る